「TEDの歴史」早わかり!
まずはTEDの歴史を年度別にまとめてみましたのでご覧ください。
とくに、2006年移行、さまざまなプロジェクトが発足されていることがわかります。
「TED」とは?
TED(テッド)という名称は、Technology(テクノロジー)、Entertainment(エンタテインメント)、Design(デザイン)の略語です。正式な組織名は「TED Conferences, LLC」で、さまざまな活動を通して「価値のあるアイデアを広めること」を目的とした非営利団体です。
TEDは1984年に米国で生まれました。TEDの発足当時は、年に一回T・E・Dの3分野を結びつける講演会(TEDカンファレンス)を開いていました。2006年にTED.comが誕生し、その後、さまざまなジャンルのスピーチ(TEDトーク)を取り上げ、TED.comで無料配信するようになりました。2015年にはTEDトークの再生回数は年間10億回を超えています。2022年現在、TEDトークは115カ国語に翻訳されています(もちろんスピーチによって翻訳対象国は変わります)。
TEDの使命
TEDの使命はそのスローガン「Ideas worth spreading」からわかる通り、「価値のあるアイデアを広めること」にあります。ではTEDが広めたい「アイデア」とは何でしょうか。このアイデアについて、2002年からTEDの代表を務めているクリス・アンダーソン氏は著書で下記のように説明しています。
講演者のいちばんの使命は、自分が心の底から大切にしている「なにか」を取り出して、聞き手の心の中にそれをもう一度築き上げることだ。その「なにか」を、僕らはアイデアと呼ぶ。人々が拠りどころにし、持ち帰り、価値を見出し、ある意味で人生を変えるような概念だ。
『TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド』 p 27. クリス・アンダーソン(著) 関美 和(訳)
この使命を達するためにも次の項目にあるような様々なプロジェクトが発足されています。このような世界規模の幅広い活動は、TED、そしてアイデアを広めることに対するクリス氏の強い思いから創り上げられていると言えるでしょう。
TEDの使命は、力のあるアイデアを広め育むことだ。それができれば、TEDでも、TEDxでも、その他の形でもかまわない。他のカンファレンスでTED形式のトークが取り入れられると、とてもうれしくなる。だって、アイデアはだれかの持ち物ではないから。アイデア自身に命がある。現代のパブリックスピーキングの革命が、どこで起きていようが、だれが起こしていようが、僕たちにとってはうれしいことなのだ。
『TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド』 p 6. クリス・アンダーソン(著) 関美 和(訳)
TEDの様々なプロジェクト
- TEDカンファレンス:TEDの2大イベントの一つ。1990年から毎年開催されているTEDの主となる講演会。現在はカナダのバンクーバーで開催。聴衆として参加するには審査を受けたうえで年会費10,000ドルを支払いTED会員になる必要がある。
- TED Global:TEDの2大イベントの一つ。2005年に発足。TEDカンファレンスの姉妹講演会で、開催地が毎回異なる。その名のとおり講演テーマは「グローバル」な問題に重きを置いている。
- TEDx:2009年に発足。TEDからライセンスを受け、TEDの理念に基づき活動する団体。日本の各地でも東京の「TEDx Tokyo」や札幌の「TEDxSapporo」、大学開催のTEDである「TEDxUTokyo」などの団体がトークセッションを行っている(日本のTEDxイベントについてはこちらから)。
- TED Talks:2006年に発足。公式ウェブサイトTED.com、Youtubeの公式チャンネル、スマートフォン用アプリなどでの無料の動画配信プロジェクト。TEDカンファレンス、TED Global、TEDxで開催された講演が視聴できる。2022年現在、4,000以上の動画がアップロードされている。
- TED-Ed:先生や学生向けの「教育」を目的にしたTED動画プロジェクト。アニメーションを用いた楽しい動画が豊富。
- TED Translators:TED Talks動画の字幕作成プロジェクト。TEDのアイデアを広める熱意と語学力のある翻訳者がボランティア活動として参加している。
- TEDFest:世界中のTEDxコミュニティーに参加している人々(TEDxers)の交流を目的としたイベント。4日間連続のカンファレンスで、ニューヨークで開催されている。
- TED Women:2010年に発足した女性を中心としたTED主催のイベント。
- TED Prize:2005年から始まった賞。受賞者には現在1,000,000ドルとTEDコミュニティーへのアクセス権が贈られる。
以上です。今回はTEDという団体について簡潔にまとめてみました。いかがだったでしょうか。少しでもTEDについて知っていただけたならうれしく思います。
参考資料
1. TED公式サイト(日本語)
2.『TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド』クリス・アンダーソン著 関 美和訳, 2016
<本来プレゼン力を向上させるための本だが、TEDの代表が書いているので、TEDのリアルな情報・裏話が散見されるので採用。訳もとてもお上手。>
3. TEDxUTokyo
4. TED (conference)(Wikipedia 英語)
5. TED (カンファレンス)(Wikipedia 日本語)