実際に聴いてみよう
スピーチ時間:14分45秒 カテゴリー:自己啓発
解説PART
語句・表現
- be honored to V:~を誇りに思う
- commencement:始まり/卒業式<卒業は人生のスタートという発想から転じて「卒業式」の意味を持つ>
- Truth be told:実を言うと
- That’s it:それだけです。/以上です。 <この文脈では「That is the end」の意。>
- No big deal:大したことじゃありません。 <インフォーマルな響き。>
- stay around:ぶらぶらする<インフォーマルな響き。去らないでそばにいるイメージ。>
- drop-in(名詞):ふらりと立ち寄る人
- biological mother:実の母親
- unwed:未婚の
- put A up for adoption:Aを養子に出す
- be all set for A:(Aに関して)準備万端です <「(I’m) all set.」で「準備OKだぜ」の意味。>
- at birth:生まれたとき
- Except that S V:(ただし)SがVするのを除いて
- pop out:~から突然出てくる/生まれる(意訳)
- at the last minute:~の間際になって/土壇場で/最後の最後で
- waiting list:キャンセル待ちリスト/養子縁組リスト(意訳)
- relent:折れる <拒んだ末に同意するイメージ>
- naively:何も知らずに
- working-class:(下層の)労働者階級の/肉体労働者の(意訳)
- savings:貯金
- tuition:授業料
- figure out:~を見つ出す
- work out:うまくいく
- looking back:思い返せば
- The minute S V:SがVするとすぐに <”as soon as”と同義>
- dorm:寮 <dormitoryの略>
- deposit:デポジット(保証金) <製品価格に一定金額の「デポジット(預託金)」を上乗せして販売し、製品や容器が使用後に返却された時に預託金を返却することにより、製品や容器の回収を促進する制度。>
- stumble into:偶然出くわす
- calligraphy:カリグラフィー(欧文の文字を美しく書く技術/装飾書体/デザイン化した字体)
- serif typeface:セリフ体 <文字の先端に装飾があるフォント>
- san serif typeface:サンセリフ体 <文字の先端に装飾がない丸みを帯びた欧文フォント>
- subtle:繊細な
- in a way that S V:SがVする方法で
- proportionally spaced font:プロポーショナルスペースの書体(文字配置を均等にせず個々の文字の形に応じて調整された書体)
- gut:勇気/根性
- karma:カルマ <前世からの業。現在の事態を生み出した過去の行為>
- down the road:将来/今後
- get fired:解雇される
- talented:有能な
- things go well:物事がうまくいく
- diverge:食い違う
- fall out/have a falling out:もめる/仲たがいする
- side with A:Aの側につく/Aの味方をする
- devastating:大打撃の
- let A down:Aをがっかりさせる
- screw up:へまをする(スラング)
- run away from the valley:シリコンバレーが逃げ出す <この場合は「the valley」は「Silicon Valley」を指す。>
- dawn on A:Aがわかり始める
- start over:はじめからやり直す
- free A:Aを自由にする
- be at the heart of A:Aの中核になる
- renaissance : 復活/再建
- Sometimes life hit you in the head with a brick:「生きていれば災難がふりかかることもある」的なイメージ <直訳すると、時に人生はあなたの頭をレンガで殴る>
- have got to V:をしなければならない <youにつくと「have to」よりも命令感の強い響きを持つ。くだけた言い方には「got to V」、「gotta V」がある。>
- settle:安住する
- as with:~のように/~と同様に
- be about to V :しようとする
- fall away:なくなる/消える
- be diagnosed with/as:~と診断される
- tumor:腫瘍
- pancreas:膵臓
- incurable:治療できない
- get A in order Aを整理する
- button up:~を仕上げる
- diagnosis:診断結果
- biopsy:生体組織検査
- be sedated :横になっていた <この場合、スティーブは「鎮静剤を与えられて」横になり静かにしていたと解釈した>
- a few month decades:数十年
- and yet:それでも
- change agent:変化の担い手/変革者
- clear out:取り除く/捨てる
- dogma:定説
- fellow:同志/仲間 <単に男性を指す意味もある>
- bring A to life:Aに命を吹き込む
- poetic:詩的な
- idealistic:理想的
- overflowing with:~が溢れる
- put out:出版する
- sign off:締める
- anew:新たに
学びPART
晴天のスタンフォード大学で「たった3つの話だけ」と卒業生にむけてゆっくりと語り出したアップルの創業者、スティーブ・ジョブズ。彼が紡ぐ言葉のその重み、その深さに、騒がしい卒業生たちはいつしか口をつぐみ耳を傾けはじめました。ここでは彼の3つの教えを手短にお伝えします。
1.点と点はいつか繋がる
むかし熱中していたことが、そのほとんど忘れてしまったような体験が、今に生きる自分を救ってくれることがあります。スティーブは大学時代にカリグラフィー(文字のアート)の授業を受けていましたが、10年後になってやっとこの学びを活かすことができました。初代Macに画期的なフォントを取り入れることができたのです。
もちろん彼は「10年後に画期的なフォントのパソコンを作ろう」と考えてこの授業を受けたわけではありません。しかし、本気で打ち込んだことはしっかりと細胞に記憶されていて、遠い未来で大いに役に立つ可能性があるのです。
点と点はいつかきっと繋がります。愛を込めてまいた種ならば、それが一体なんの種かわからずとも、真っ赤な花を咲かせてくれるでしょう。
2.愛すこと、失うこと
大人になり社会に出ると、労働が人生の大半を占めていることに気がつきます。日本では8時間労働の人が多いでしょう。仮に睡眠時間を8時間とすると、一日の残りは8時間しかありません。それも通勤や家事で削られます。なんだか悲しくなってくる。まいにち仕事ばかりで私はなんのために生きているのか。
一方、スティーブはこのように人生を悲観していなかったでしょう。彼は自ら創業した会社を追い出されてもなお、後世に残る大企業や大作を生み出すことができました。心から仕事を愛していたからこそ、大きな失敗を乗り越えて幸せな生涯を送られたのです。愛する仕事を自分で見つけられたのなら、その仕事にしがみつく。しがみついていれば、知らないうちに今日の24時間が終わっている。そんな人生観を持っていたのだと思います。
時は一律で与えられていますが、幸せは同じようには与えられてはいません。幸せは、自分で愛して失って、されど愛してつかみ取るものなのです。
3.死を感じて今を生きる
概して人は怠惰です。ダイエット、貯金、結婚。できればあれもこれも後回しにしたいと考えます。そして人はどうしようもなく弱い。周りからの期待や自分のちっぽけなプライド、失敗への恐怖のせいで一歩を踏み出せないなんてことはよくあるでしょう。そして、ふと鏡を見ると歳ばかりを重ねて何も残すことのできなかった老人が映ります。
深刻な膵臓がんを克服して奇跡的に生還したスティーブは、毎朝、鏡を前にして自分に問いかけていました。「今日が人生最後の日だったら、これからすることを心からやりたいと思えるだろうか。」毎日、誰よりも死というものをリアルに感じて生きていたのです。
目を転じれば、人は毎日「小さな死」を経験していると言えるでしょう。20代でできたことの多くは、30代ではもうできなくなってしまいます。だからこそ毎日を大切に生き、自分が本当にやりたいことに集中するべきなのです。私たちは、なにもスティーブのような大業を成し遂げる必要はありません。すぐに忘れてしまう時間の価値を幾度となく思い出して、一度きりの人生を悔いのないように丁寧に生きていくことが必要なのです。
感想PART