実際に聴いてみよう
スピーチ時間:4分50秒 カテゴリー:自己啓発
解説PART
語句・表現
- incompetent:無能な/~する力がない/~できない <本タイトルでは「incompetent people」を「できない人」と訳している。>
- stack up against:~と比較する
- self-esteem:自尊心
- figure out:わかる
- forge ahead:しっかりと進める
- seek out:探し出す/求める
- overestimate:過信する
- illusory:幻想の~
- superiority:優越感
- degree:程度 <to a degree that SVで「SがVするほど」の意>
- isolated:例外的な/その分野特有の(意訳)
- overate:高く見積もる
- extent:程度 <to X extentで「Xほど」の意>
- measurably:かなりの <measure(測れるほど)できるほどの>
- logical reasoning:論理的推論
- expertise:(専門的な)技術/能力
- favorably:良く/好ましく
- vulnerable (to):~に陥りやすい
- delusion:錯覚
- curse:災い/不幸/過ち(意訳)
- preliminary:予備の~
- grasp:理解
- break down:破綻する
- ego:エゴ
- blind:~を見えなくする
- admit:認める
- deficit:欠点
- spot:見つける
- label (as):~とみなす
- awful:ひどい
- moderate:適度な/ほどほどの
- knowledgeable:見聞の広い/博識な
- inept:無能な/だめな
- be caught in a bubble of:実体のない~に捕らわれる <bubbleは「泡」だが、転じて掴んでも掴んでも捉えられない「実体のないもの」を表わす>
- self-perception:自己認識
- exceptionally:ずば抜けて
- invisible (to):~に見えない/気づかれない/わからない
- boil down to:~と要約できる/つまり~ということだ
- proverb:ことわざ/格言
- a fool:愚か者
学びPART
みなさん、黒歴史はお持ちでしょうか。あんまりない? じゃあ、ごくごく小さなところから。クレーンゲームに何千円も使ったことはありますか。レシピを見ずに作った料理がいまいちだったことは? さすがにSNSで赤っ恥ポエムをさらしたことはありますよね(俺は絶対にある)。他にも、車で格好つけてムリな運転をして大事故を起こしてしまったことや、人を見下して暴言を吐いたりと、思い返せば、黒なり灰色なり恥ずかしい歴史を誰もが持っているかと思います。
これは本記事を閲覧していただいている皆さんだけの特権ですが、今日からほとんどの黒歴史は「ダニングクルーガー効果」のせいにしてください。そして過去の自分を許してやってください。
ダニングクルーガー効果とは、他の人より自分のほうが優れていると思ってしまうことです。できないのにできると勘違いしちゃうアレのことです。「優越の錯覚」とも言われる認知バイアスの一種で、誰もがこの錯覚に陥ることがあります。しかも、どんな分野においてもこの錯覚は顔を出してきやがります。たとえば、自分の健康状態、リーダーシップスキル、倫理観、運転技術、仕事のパフォーマンス、チェスの腕前を、他の人と比べて高く見積もってしまうのです。ちょっとかじっただけでプロ並みと勘違いされる自信家の方もいらっしゃいますよね。人生に大きな影響を及ぼすとても厄介な認知バイアスです。
このバイアスに操られて大胆な行動に移ると「二重の呪い」に見舞われます。まず、シンプルにミスをします。能力や知識がないからこれは当然です。そして、そのミスに気づけないことが二つ目。能力や知識がないということは、自分のミスを認知する力もないということです。ドラえもんのジャイアンのリサイタルが好例です。自分は歌がうまいと思い込み、下手なことにも気づけずに、周りの人間に被害を加えています。周りを困らせるという点を加味すれば「三重の呪い」と言えるかもしれません。
では、ダニングクルーガーの呪いから抜けだすにはどうしたらいいのでしょうか。有効な方法は二つあります。一つ目は他の人にフィードバックをもらうことです。自分の能力を誰かに判断されるのは恐いことですが、自分の本当の力を知る機会だと前向きに考えてください。たとえば英語の勉強ならTOEICなどの資格を活用してもいいでしょう。客観的なスコアが自分の力量を雄弁に語ってくれます。二つ目は学び続けることです。学び続けて知識やスキルを獲得することで自分の見えない欠点が見えるようになります。
ジャイアンのいけないところは、人のフィードバックを聞かないことと、歌の練習をしていないことです。もしジャイアンがみんなにアンケートを取って己の歌唱力の低さに気付き、毎日ボイトレを真剣にしたならば、いつか最高のリサイタルを開くことができるでしょう。明るい未来がきっと待っています。
根拠のない自信はときに私たちを成功に導いてくれることもありますが、何事もフィードバックを真摯に受け取って熱心に学び続けましょう。そうして根拠のない自信に根拠をつけていくのです。そしたら、誰かに笑われるのではなく笑わせることができるようになり、誰かに迷惑をかけるのではなく感謝されるようになります。ダニングクルーガー効果をつねに意識して自己評価をうまく行い、人生を華麗に歩んでいきたいものです。