実際に聴いてみよう
スピーチ時間:4分16秒 カテゴリー:自己啓発
解説PART
語句・表現
- hysterical:狂乱の/狂乱な
- pandemonium:大騒ぎ
- deafening :騒々しい
- religious:宗教的な
- rapture :歓喜
- weeping:涙を流すこと
- alarming:警鐘を鳴らすこと
- deadly:命取り
- literally:文字通り/本当に
- determine:決める
- a day:1日あたり<「a week」なら1週間あたり、「a month」なら1ヵ月あたり>
- Gaokao:高考(ガオカオ)<中国の全国統一大学入試)
- grueling:かなり厳しい
- intensity:熱量
- unimaginable:想像を絶する
- unless SV:~しない限り
- witness:目撃する
- wash away:洗い流す
- Not likely!:とんでもない/まさか <口語>
- poverty:貧困
学びPART
英語を学ぶ意義とは何でしょうか。日本では義務教育のもとで小学生から英語を学び始めます。中学では英検のために、高校では大学受験のために、そして大学生・社会人になればTOEICのために、英語を長いあいだ学び続ける人が多くいます。
また、他の非英語圏でも英語学習は活発に見えます。なぜ世界中の人々は、数ある学習分野のうち英語を選んで人生の貴重な時間を割くのでしょうか。極端な例である中国に目を向ければその答えが浮き彫りになります。TEDスピーカーのジェイ・ウォーカーさんは、世界で一番熱心に英語学習に取り組む中国を紹介していますが、その姿はほとんど狂人的です。
中国には「高考(ガオカオ)」という過酷な大学統一テストがあります。あるブログの中国人は高校の3年間、恋も、交友も、娯楽も捨てて勉強に打ち込んだと語っています。青春の高校生活を、毎日のように朝6時半から夜10時半まで勉強に費やすのは、もはや尊い。そして、このテストの実に25%が英語のスコアで測られるようです。複数の科目があるなかで比重がとても高いのです。
中国人は、いい大学に受かって、大企業に入って、豊かな暮らしをするために、英語に熱を入れて取り組まなければならないのです。いわばより良く生きるための英語学習です。自分を救うための英語学習です。そして、状況や程度の差はあれど日本人も同じような道をたどっていると思います。いい高校・大学に入れば、また、TOEICで900点を取れば、大企業に就職できる可能性や収入が上がる可能性が高まりますね。「自己の課題を解決するためのツール」として英語を勉強している人が大半なのです。
一方で、ジェイさんは英語を「大規模な世界の問題を解決するためのツール」として捉えてほしいと訴えます。地球に住む私たちは今、コロナウイルス、ロシアとウクライナの戦争、異常な気候変動、貧困など、多くの人の命に関わる深刻な問題に直面しています。これを解決するのは誰でしょうか。もちろん、地球に住む私たちです。私たち自身が英語を介してアイデアを出して行動に移して解決しなければならないのです。実際には、国連のような国際問題を解決する組織で働いている人々や政治家たちが、英語を使って世界的な問題に向き合っています。彼らのおかげで地球の統制が取られていることは忘れてはなりません。
なにも「世界問題を解決するために英語を勉強しよう」と投げかけているわけではありません。個人には個人の過酷な生活があります。まずは自分の問題を解決しなければ、世界の問題に目を向けることなど中々できることではありません。自分のための英語学習も一向に構いません。むしろ誇らしいことです。しかし、英語を勉強している私たちには、自分を変える力と同時に、世界を変える力があるということも知っておいてほしいのです。英語を駆使して世界的な問題をリアルタイムで知り、所属するコミュニティーで議論に参加して、アイデアを出すことができれば、世界がよりより方向に傾く可能性はあるのです。
高考やTOEICの例のように、自分のために熱狂的に英語を学ぶのもすばらしいことですが、その熱を世界の問題に向けられたらどうなるのでしょうか。英語の熱を、内から外へ。自分のためだけの英語学習に疲れてしまった人は、世界に目を向けてみるのも良いかもしれません。世界のため、誰かのための英語学習だってあるのですから。